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馬といえば新宿

 

 江戸の昔、新宿はずば抜けて馬の出入りが多い土地だったそうです。平岩弓枝の「浮かれ黄蝶」(御宿かわせみ三十四)には、「馬といえば内藤新宿といわれるほど、この宿場には馬つなぎ場も多いし、馬のための水飲み場なぞも常備されている。なにしろ、夜明け前に農作物を積んだ馬が百姓に曳かれて新宿をめざすので、季節によっては往復で四千匹からの馬がこの街道を通ったといわれている」とあります。

  この街道とは、甲州街道と青梅街道のこと。その分岐点が「新宿追分」で、もともと追分は「牛を追い、分ける場所」を意味したそうです。場所は、現在の新宿三丁目交差点付近。追分だんご本舗本店前の通りには、追分を示すモニュメントが埋められています。

  馬の水飲み場といえば、かつて新宿西口の淀橋浄水場に大理石づくりの「馬水槽」と呼ばれる塔がありました。前面の上段は馬、下段は猫や犬、そして裏側に人と、人間が動物と仲良く水が飲めるようになっており、いつくしみと愛情のシンボルとして都民から親しまれていました。

  ところが、新宿副都心計画による浄水場の移転に伴い、この記念塔も昭和39年に新宿駅東口広場へ移設されます。愛称を公募し「みんなの泉」と決定。現在も新宿を訪れる多くの人から、「心のうるおい」のシンボルとして親しまれています。この塔は、ロンドン水道協会から贈られたものですが、世界に3個しかない貴重なものだそうです。

  馬が交通機関として大きな役割をになっていた時代から、すでに新宿は物資を運ぶ重要な中継地であったのです。


    みんなの泉(写真・左)と追分を示すモニュメント(右)

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